ママ留学記@ハーバードビジネススクール

2歳の息子を連れ、主人と2人揃ってハーバードビジネススクールに留学している一家の記録。日々の生活の様子に加え、MBA受験の経験談や、「ワーキングマザーとしての成功」に関する考察を共有したいと思います。

GDP成長のない国で生きるとは?今後何を目指すのか?

今日のBGIE(Business, Goverment, and the International Economy)の授業は、日本のケースでした。

日本の今後について色々考えさせられるケースだった上、個人的に嬉しいこともあったので記録に残しておこうと思います。

 

 

ケースの内容

ケース自体は、まずは日本の歴史から始まります。鎖国、ペリー来航、明治維新、第二次世界大戦、高度経済成長、バブル崩壊、そして失われた20年と詳しく歴史についての記載。

その後、安倍政権の「三本の矢」についての説明。

第一の矢:大胆な金融政策

第二の矢:機動的な財政政策

第三の矢:民間投資を喚起する成長戦略

それぞれについてどのようなことが行われたのかが説明されていました。

 

授業の議論

今回の授業では冒頭に

「GDP成長のない国で生きるとはどういうことなのか?」

というテーマが教授から掲げられました。

 

まずは"GUIDES"に基づいて日本の経済について分析。

ちなみにこのGUIDESとは、以下の略語である国の経済状況を全体として理解するのに役立つツールです。

G:Growth (GDP成長)

U:Unemployement rate (失業率)

I:Infaltion (物価の推移)

D:Deficit (財政)

E:Exports and Imports (貿易)

S:Savings (貯蓄)

 

その後日本の抱えている問題は何かを整理。

デフレ

財政赤字

高齢化

社会保障

女性の社会進出

移民の少なさ

規制の多さ

韓国や中国との軋轢

などなど様々なものが挙げられました。

 

日本人として耳の痛いコメントもいくつかでました。

「日本人は移民に対して差別的」

「第三の矢は結局何をしているのかよくわからない」

「女性の社会進出と合計特殊出生率の向上を同時に達成するのは難しいのでは」

などなど。

 

「このような問題は本当に大きな問題なのか」という点を議論し、授業残り15分というところで、手を挙げると教授に当ててもらえ自分の意見を述べることができました。

話した内容としては、この問題は次世代にとってものすごく大きな意味のある問題ということを話しました。

①財政赤字、そして鈍い成長が続く中、将来への期待を持つことは難しい。バブル崩壊後に生まれた私も、将来への不安から自分で貯蓄しないといけないという意識が強い。

②またデフレで賃金も上がらない国に対し見切りをつけ、多くの優秀な人材が国外に流れてしまう

③女性の社会進出の話もなかなか思うように進んでいない。息子の保育園全落ちの話も交え、保育園についてもまだまだ道半ばなことを説明。且つこの点については「女性は家にいるべき」という固定概念が未だに残っている文化的要素も大きいので、政府が保育園を整えたりすることは最低限やってもらう必要はあるものの、ビジネスリーダー達が率先して、そういった文化を変えていくべき

といったような話をしました。

 

セクションの反応は?

「あ、なんか全然構造化されてなくないか・・・」

「あ、あれ言うの忘れた・・・」

と不安を抱えつつ、とりあえず話を終えました。

 

すると、思いもよらないことにセクションの皆が拍手をしてくれたのです。予期していなかったので少し驚きつつ、皆の温かい反応が単純にとても嬉しかったです。

 

授業後も「面白い話を共有してくれてありがとう」、「リアルな意見を聞けてよかった」と話しかけてくれた子が多くいたり、「追加で質問があるんだけど・・・」とその後数分内容について議論してくれた子がいたり、「HBSに来た理由の一部として、違うバックグラウンドの生徒から学ぶということがあったが、今日のコメントはまさにそれを実現してくれた。自分達があなたのことを誇らしく思うように、あなたも自分を誇りにおもってほしい」という温かいメールをくれた子がいたり・・・。

 

想定していた以上に皆がしっかりと聞いてくれていて、且つそれに対してポジティブな反応を示してくれたことに感謝の気持ちでいっぱいになりました。また、以前記事に「日本代表」としてより日本について理解し、それをもって議論に貢献する必要があると感じたことを書きましたが、今日は「日本代表」としてクラスの議論に貢献するということが達成できたのは非常に嬉しいことでした。

www.kanamom.com

 

 

まとめ

授業の終わりに教授が提示した質問は

「成長が終わったら全て終わりなのか?その先に何を目指すべきなのか?」

というもの。

 

先進国の多くが今後日本同様に人口構造の変化や成長の限界を迎えていくと予測されています。そうなった時に、成長を目指すのか、それとも、成長の止まった社会の中で他のものを目指すのか。そういった議論がしっかりとなされていくべきというメッセージでした。

 

授業後、よくよく今後何に力を入れていくべきなのかを考えると個人的にはやはり教育なのではないかと思います。イノベーションを起こせる力、女性・移民など様々な人を受け入れるinclusiveなマインドセット、英語力を含めた世界で戦えるスキル。そういったものを次世代が持つためには、国として教育に力を入れていく必要があると思います。

Lunar New Yearのイベントに参加してきて思ったこと

今日はセクションの仲の良い子達が、Lunar New Year(旧正月)のイベントを開催してくれたので、息子と主人を連れて参加してきました。

 

春節と聞くと、とにかく多くの中国人観光客が世界各国に訪れるイメージが強いですが、今年はコロナウイルスもあり、人数は少ないのでしょうね。上海に住んでいる兄によると、兄の婚約者が一週間前辺りにご両親を空港まで見送りに行ったところ、空港はほぼ人がおらず恐ろしいほど静まり返っていたようです。

 

HBSにもコロナウイルスの影響は出始めています。今のところ感染者は出ていないようですが、5月に行われるFGIというプログラム(海外の各国でグループに分かれ、コンサルティングのようなプロジェクトをするもの)で、上海と深センに行くグループは中国行が中止となり、他の国に振り分けられることが決まりました。FGIの直後にHBS恒例のJapan TrekというHBSの学生170人くらいを日本に連れていくイベントがあるのですが、そちらに影響が出ないか今から心配しております。。。日本での状況が悪くならないことを祈るばかりです。

 

コロナウイルスに話が逸れてしまいましたが、今日行ったイベントは、中華料理のケータリングを食べ、その後旧正月についてのクイズがあり、最後に中にゴマやピーナッツのペーストの入ったお餅をデザートに食べるというまったりとしたイベントでした。今回参加したことで、中国の文化や旧正月について知らなかったことを知ることができたので個人的に楽しかったです。

 

旧正月について学んだこと:

  • 旧正月はLunar calendar(太陰暦)に基づいて時期が決まる
  • 期間は約15日間
  • 旧正月で爆竹を鳴らすのは、もともと旧正月はモンスターを追い払う意味があったから
  • 旧正月を祝日としている国は中国や台湾だけでなく、韓国、ベトナム、シンガポールなど東南アジアの様々な国がある
  • 旧正月の時に飾る漢字で、「招」、「財」、「進」、「宝」の4文字を一つにした文字がある
  • 旧正月で一番大事なことは家族との繋がりの大切さを再認識すること

 

毎年ニュースで春節のことは出てくるし、なんとなく知っている気持ちでいましたが、知らないことがまだまだたくさんあるんだなと改めて感じた日になりました。

 

私のセクションは10セクション中2番目に国籍の数が多いセクション。つまり、他の国について知るのには最適なセクションです。この貴重な環境で過ごせるのも、あと3カ月。できるだけ色々な人と話して、より色々な国や文化の理解を深められたらいいなと思います。

サマーインターンの就活を始めたら変な話が舞い込んだ

「サマーインターンどうなった?」

 

HBS生の間で頻繁に出てくる質問。

年末辺りからサマーインターンシップに向けた就職活動が本格化してきました。年明け早々、コンサルティングやインベストメント系(PE, Hedge Fund, Asset Managementなど)、テック系(Amazon, Googleなど)などの大手企業がキャンパスでのインタビューを行い、一部の学生は既にオファーをもらっている状態。

私の旦那も冬休み中頻繁に、行きたい企業の人と電話をしたり、面接準備をしたりと日々忙しそうにしており、無事いくつかオファーが出た様子。(おめでとう!!!)

 

私は上記の企業にはあまり興味がなかったので、この期間は就活をせず、その間息子とのんびり遊んでいました。が、ここにきてさすがにちゃんとやらねばと思い始め、重い腰を上げて活動を始めました。

 

 

そもそもサマーインターンシップとは

HBS含め、多くのMBAプログラムは5月末に学期末を迎え、3カ月間ほどの夏休みに入ります。その間、様々な企業でインターンシップをして経験を積み、業界・企業とのコネクションを築き、うまくいけば卒業後のフルタイムオファーをもらえるという、MBA生にとってはかなり重要なものになっています。

特に私費の学生は、卒業後のフルタイムオファーに近づけるため、プログラム開始直後くらいから動き始めている人もいるほど、かなりの力の入れ具合です。

私のような社費の学生も、単純に色々な経験をしたい、将来の転職を見据えてある業界に入りたい、2年生の生活費を賄うために少しでも収入を得たいなど様々な理由でインターンをする人が多いです。

 

就職活動って何をするの?

細かいところを含めると色々ありますが、大きなものは以下の3つかと思います。

①企業検索:HBSは就活に向けた特設ウェブサイトがあり、そのページにサマーインターンやフルタイムの求人情報が載っています。その中から探すのをスタートとして、その中にない企業は別途探すことになります。

 

②ネットワーキング:卒業生を始めとして、とにかく自分の行きたい企業の人とネットワーキングすることが強く推奨されています。多くのMBA生から履歴書が届くわけですから、その中で埋もれないようにするには、ネットワーキングで自分のことを知っておいてもらうというのが非常に重要なよう。

LinkdInやAlumuni Directoryなどから人を探し、メールを送りまくり、うまく返信してもらえれば電話でお話しさせてもらうという流れ。なかなか返信が思ったように来ないので、私は今ここで結構苦労しております。。。

 

③面接:履歴書やカバーレターを送り、無事面接にこぎつけられたら、あとは本番に向けて準備するのみ!

先日、スキンケアのスタートアップの面接を受け(アメリカで初の面接!)、面接の感触はよかったのですが、その後のオンラインテストが難しすぎて(というか、トリッキーすぎて)、その後音沙汰ないのでダメだったようです・・・涙 ちなみにオンラインテストでは、複数のDTCのウェブサイトを比較して何が違うのかを分析するという比較的わかりやすいものから、ある美術作品を映しているYoutubeの動画を見てその作品がどのようなものであるか端的に説明する、といったトリッキーなものまであり、英語nativeでない私にとってはかなり難しかったです。

 

就活を始めてみたら・・・

さて、新学期が始まり、さすがに私もそろそろ本格的に活動を始めないといけないと思い、上記のスタートアップの面接を受けたり、他の企業リサーチをしていたりしていました。そんな中、今週の月曜日、LinkdInから、上記で受けたスタートアップとは別のスキンケアの会社の方からコンタクトが!

 

どうやら日本への展開も視野に入れているようで、英語・日本語が話せ、コンサルの経験がある人を探しているとのこと。スキンケアにも興味があったので、「いい機会が舞い込んできた!!」とテンションが上がり、すぐに返信すると、「水曜日に簡単にお話ししましょう」ということに。

 

そして今日、簡単にお話ししましょうとのことでしたが、がっつりとした面接になることも想定して、帰宅後電話に向けて準備をしていました。その会社のウェブサイトを見ていると、アメリカではかなり有名なブランドであることもわかり、さらにテンションが上がってきました。

 

そして予定の時間を10分程過ぎた頃、ついに電話がかかってきました。とても感じのよい女性。お子さんを歯医者に連れて行っていたようで、治療が長引いたため遅れてしまったとのこと。ゆるい感じの話から始まり、会社の話や今回の仕事の機会についても説明を始めてくれました。

 

この商品がいかにいいか、ブランド認知が高いか、など色々説明してくれた後、実際の仕事内容の話に。

 

女性:「このブランドは以前はデパートなどで売っていたのですが、今はDTCのみになり、私のような様々なコンサルタントが、その企業のホームページ上でバーチャルのお店を持ち、個別に売るような体系を取っています。」

 

へ~そんな感じで売っているんだ。

 

女性:「まずは自分で商品を買い、それを売っていくというシステムです。自分でビジネスをOwnできるので非常に楽しいし、在宅でできるからフレキシブルな上、それなりに稼ぐこともできて、私は病院で働くことをやめ、こちら一本にして今はやっています」

 

在宅でできるのは子持ちにはいいよね。

 

女性:「軌道に乗ってきたら、お知り合いの方をコンサルタントとして誘い、その方が商品を売るとあなたにも収入が入るようになります。こんな感じの仕事なのですが、是非やってみませんか?」

 

ん・・・?え、本社の戦略とかでなく売る側?
しかもこれって完全にネズミ講ってやつなのでは・・・・

 

念のため内容を確認するとやはり間違いはないよう。ねずみ講かはわかりませんが、どう考えてもPyramid schemeで商品を売っていくやり方で、その末端に誘われたわけです。この時点で完全に興味を失い、その後は「ちょっと旦那と相談しないとわからないので・・・」などと適当に言葉を濁し、「やりたいと思ったらこちらから連絡するね」と一応感じよく電話を切りました。

 

まとめ

MBAの学生だから、もちろん本社での機会だろうと勝手に踏んでいたら、まさかの展開となりました。就活し始めたところでなんとおいしい話が・・・と思いましたが、人生そこまで簡単ではないようです。

それにしても、この女性、おそらく色々な人に話しているからだと思いますが、ブランドや商品の説明や、いかにいい仕事かとう話がとても上手で、思わず「いいかも・・・」と一瞬思いそうになるほどでした(笑)アメリカ人のスピーチ力はやはりすごいですね。

旦那を見習って、コツコツと頑張りたいと思います。

 

 

 

 

新学期の始まり

約1ヵ月の長い冬休みが終わり、いよいよ春学期が始まりました。

 

春学期という名前はついていますが、ボストンはまだまだ冬、真っ只中です。ですが、今年は暖冬のようで、今日も1月にも拘わらず7℃と比較的寒くない1日でした。

 

朝8時から始まっていたセクションでのWelcome Back Breakfastに参加し、セクションメートとキャッチアップ。旅行、就職活動、SIPと呼ばれるOptionalの授業など、皆それぞれ違った冬休みの過ごし方をしていたよう。リラックスした雰囲気の中、初回の授業が始まりました。

 

春学期の授業は?

春学期も秋学期同様、選択授業はなく、以下5つの科目を学びます。

BGIE:Business, Government and the International Economy
FIN 2: Finance 2
LCA: Leadership and Corporate Accountability 
STRAT: Strategy
TEM: The Enterpreneurial Manager

 

今日はBGIEとFIN 2の授業。
BGIEは基本的にはマクロ経済。他の科目が企業(The Firm)とリーダー(The Business Leader)に関して学ぶものである中、この科目はその企業やリーダーが活動する国や社会といったContextを学ぶというもの。今日のケースはシンガポールに関するもので、なぜシンガポールが急成長したのか、今後抱えうる問題は何か、そしてこの例から何が学べるのかといったような内容を議論しました。

FIN2はFIN1の延長のようなもの。今日はPromised returnとExpected returnの違いや、Economic disressとFinancial distressの違いなど今後も議論に上がってくる基礎的なコンセプトの紹介となりました。1ヵ月ぶりのIRRの計算も何とかフォローすることができたり、久々の発言もなんとかできて、とりあえず一安心。

 

春学期の目標

新しい学期の始まりということで夫婦で"New Year's resolution"は何かという話をしました。旦那は勉学により力を入れるのに合わせて、金曜日にカレー(もしくはシチュー・ハヤシライス)を作ることをルーティーンにして家事を楽にするという面白いアイデアを出してくれました。共働き向けの料理キットのスタートアップを考えていた友人曰く、1回の夕食準備にかける時間が1時間を超えるとサステイナブルではなくなるそうです。それを聞き、金曜日に作って土日は何も作らなくて済むようにするのがいいのではと考え付いたよう(笑)。私としては金曜日から日曜日にかけて料理をしなくて済むのは本当に楽なのでありがたい限り。

 

私の方はというと、

 

週1でヨガ、週1でランニング、計週2回はジムに行く

ブログを頑張って続ける

無理せず勉強をする

 

というお気楽な感じの目標となりました(笑)

この新学期の目標について話している最中に発見したのは、旦那は「プレッシャーのあるものとないものがいいバランスであり、且つそれをルーティンでこなしていく」ことが好きであり、一方私の方は「ルーティンでなくていいが、To doを自分でコントロールして日々を過ごせること」が好きということ。お互いの心地よい過ごし方ができるように夫婦で協力していこうという話になりました。

 

初日を終えて

初回の授業だったからか、先学期に比べ、授業中の挙手率が下がったような気もして、クラスも休み明けの少しゆるっとした空気が流れていました。先学期の成績もわかっているので、皆それぞれ勉強にかける労力を調整してきているのもあるのかもしれません。

とはいえ、久々の80分×2の授業はやはり疲れました。帰宅後は、テレビやベビーカーが壊れてしまったので、新しいものをAmazonで見たりして予習が思ったように終わらなかったり、夕食に作ったミートローフをオーブンから取り出すときに豪快にぶちまけてしまったりと疲れもたまりましたが、息子がトーマスのおもちゃで遊んでいる時にケースの残り数ページを読んでいたら、「○○(息子の名前)ちゃんもべんきょうしようかな~」とニコニコ言いながら、おもちゃの説明書を読んでいたのを見て、ほっこりした気持ちで1日を終えられました。息子のように「勉強はわくわくするもの」というマインドセットで今学期を過ごしていきたいと思います。

 

Virgin Atlanticに乗ったらベビーカーがばきばきに壊れた件

 トレーニーとしてロンドンに住んでいる妹に会いに、息子と二人でロンドンに来ました。息子と二人での長い空の旅を終えて喜んでいたところ、Heathrow空港に着いたらベビーカーが壊れていて大きなショックを受けたので、どのように対応したかをお伝えしようと思います。(航空会社によって対応が違うと思いますので、一つの参考としてご覧ください。)

 

壊れるまでの経緯

息子と二人で飛行機に乗るのは今回が初めて。
ボストン⇔ロンドンの往復が大人1人$300ドルというお得なVirgin Atlanticを選択。

子連れということで優先搭乗、子供の食事も大人と同じもの、CAさんもフレンドリー、映画のセレクションもまぁまぁと比較的満足な空の旅。
(何よりも息子が7時間弱のフライト中、3時間も寝てくれたことが快適だったことの大きな要因だったことはたしか。)

 

搭乗口で預けたベビーカーが降り口すぐに届いていることを確認し、一安心。
と思ったのもつかの間。息子を乗せて、さぁ押そう、とすると、、、

ハンドル部分がぐにゃっと曲がりました。

「えええ!?」と思って確認すると、ハンドル部分がばきばきに折れているではありませんか・・・!!ちょうどハンドルの高さを調節するためにフレームの中にワイヤーのようなものが入っていたので、それで辛うじて繋がっているという状態。これは完全に壊れているので、航空会社に対応してもらうことに。

 

荷物が壊れた場合の対応

とりあえずぐらぐらのまま、荷物受取場(baggage claim)にあるVirgin Atlanticのカウンターに向かいました。税関を通り過ぎて出てしまった後に気づくと対応してもらえないこともあるので、必ず荷物受取場にある航空会社のカウンターに行くことをオススメします!

 

スタッフの方に、ベビーカーが壊れたこと("My stroller is damaged".)をお伝えすると、丁寧にお詫びされた後、すぐにレポートを作成してくれました。名前、住所、電話番号を紙に書き、ベビーカーの使用年数と購入金額を伝え、登録自体は5分くらいで終了。PIR(Property Irregulartity Report)番号の書かれた用紙を渡され、この後の対応はbaggage claimのチームに直接連絡を取ってほしいと言われ、とりあえずその場を後に。

 

f:id:kanamama_harvard:20200120085208j:plain

PIRの用紙

後日、用紙に書いてあった番号に電話をかけると、今後の対応を説明されました。

まずはVirgin Atlanticが提携している修理会社に連絡し、ベビーカーの状況を見る。その後、修理可能か確認し、修理可能な場合は修理。難しい場合は、新しいベビーカーと交換(Replace)してくれるとのこと。使用年数1年当たり10%価値を償却するとのことで、その金額分だけ返金してくれるらしいです。(我が家の場合は、6万円ほどでベビーカーを購入し、2年間使用したので、20%価値が下がるという計算。)

ちなみに今回は6日間の滞在なのでその間でどうにかならない場合は、また別途違う対応をしてくれるよう。とりあえず電話を切った後も、すぐにConfirmationのメールも来て対応はしてくれそうなので、一旦待つことにしました。

 

翌朝、約束通り朝一で電話が入りました。今回は滞在中の修理は不可能ということで、購入金額から償却分を抜いた金額をいただけるとのこと。ポンドではなく、USドルでいただけるというのもとてもありがたい話です。口座情報などを入力するリンクがメールで送られてきたので、そちらに内容を書き送信。これで全ての手続きが完了です。

担当の女性の方がとても親切、且つしっかり仕事をしてくださる方だったので、壊れてから3日で全ての手続きが終わり、対応は満足のいくものでした。

まとめ

ベビーカーだけでなく荷物が壊れていないか受け取った時にしっかり確認することが大事だと改めて気づかされた事件でした。その後の対応も時間が経つと対応してもらえないこともありそうなので、とにかく早めに対応することも大事ですね。

ちなみに荷物が届かなかった(delayed)の場合、届くまでの期間に必要な必需品を購入するとその分返金してもらえるというシステムもあるよう。海外の場合は、とにかく言ったもの勝ちというところがあるので、遠慮せずに必要なものは必要としっかり伝えることが重要そうです。そうでないと「大丈夫だった」と判断されて、何もしてもらえないかもしれません!

ガムテープで応急手当をしたベビーカーでの行動は大変ですが、たまたま出張でロンドンに来ていた父と再会したりと久々の家族との時間を楽しみたいと思います。

 

 

 

日本はなぜ子育てがしにくい?「完璧な母親」が求められる日本と「色々使って子育てすればいい」アメリカ

先日、ボストンで出会った日本人のママ友とランチをしてきました。その時に話に上がったのが、

「日本は子育てがしにくい」

ということ。

 

たしかにボストンに来てから、私自身も前よりも子育てが楽になった気がしています。もちろん日本では社会人、こちらでは学生と、生活リズムや日々感じるプレッシャーが全く違うので、そういうことも大きく影響しているのは確か。しかし、それ以上に育児や家事に対する考え方が変わったことが大きいと思います。

 

この記事では日本と海外の育児の状況についての違いを考えてみます。

 

そもそも日本の方が育児が大変というのは本当か

US.Newsが2018年に行った"Best Countries for Raising Kids"*1によると、子育てのしやすい国トップ3は、1位デンマーク、2位スウェーデン、3位ノルウェーとのこと。その中、アメリカは18位、日本は19位につけています。このランキングを見ると、北欧の国々がトップにつけ、その後に日本やアメリカがくるというのは、なんとなく納得がいくし、「まぁそうか」という印象。

 

ちなみにこのランキングは以下の8つの要素に基づいて評価されています。

caring about human rights, being considered family friendly, its environment for gender equality, being seen as happy, having income equality, being safe, and having well-developed public education and well-developed health care systems.

 上記の評価軸で見るとアメリカと日本はそこまで差はないという結果になっています。にも拘わらず、なぜアメリカや欧州などで子育てしている日本人のママ達は、日本よりアメリカや欧州の方が子育てしやすいと思っているのでしょうか。今回は制度面などでの違いよりも、個人的に感じている、日本とアメリカでの子育ての違いについて見ていきたいと思います。

 

日本の子育て環境について評価できる点

日本で子供を生み、2年間日本で子育てし、現在ボストンで約5か月間子育てを経験しましたが、日本が子育てしやすいところもいくつかあると思います。

まず思い浮かぶのが、安全面。やはり日本はアメリカに比べ治安がいいので、夜子供と電車に乗っても特に怖い経験をすることはほぼありませんし、気軽にお出かけできた気がします。こちらだと日が暮れた後に子供と2人で公共交通機関で移動するのは慣れていないこともありかなり抵抗があります。ちなみに今日、たまたま家の近くの路上で子供が誘拐されたという緊急速報が入って、改めて油断できないなと思いました。

また交通の便がいいのも日本のいいところでしょう。アメリカは車社会なので、車がない私達は遊べる範囲がかなり限られます。日本であれば、都内であれば比較的どこでも電車で行けますし、少し足を伸ばしてディズニーランドや葛西臨海公園などにもよく遊びに行っていました。

これは保育園によっても違うかもしれませんが、給食の質は明らかに日本の方がいいです。日本で通っていた保育園では、私が家で作ったこともないような手の凝った栄養バランスの良いメニューを毎日提供してくださっていました。こちらではピザやチーズマカロニ、パンケーキなどジャンキーな食べ物が出されることも普通にあります。(うちの息子はこちらに来てピザが大好きになりました笑)

最後に、育児休業を2年間最長取れるというのも制度としては有難いところです。私は会社の理解もあり2年間フルで育休を取れたので、その話をアメリカ人の友達に話すとかなり驚かれます。もちろん日本でもそんな悠長に育休を取っていられない、2年間も取ったら自分の戻る場所がなくなるなど、実質面でまだ改善すべきところも多いのですが、制度としてすら日本レベルのものがないアメリカに比べるといい点なのかなと思います。

 

アメリカの方が評価できる点

アメリカに来て、育児に関することで一番違うと思ったのは、育児に対する考え方でした。日本では、「できるだけお母さんが子供を見てあげるべき」(そしてここで「できるだけお父さんが見てあげるべき」という人は少ない)、「食事は栄養バランスをしっかり考えてあげるべき」、「家事も手を抜かずにやるべき」、その上で最近では「社会に戻ってしっかり仕事もすべき」と、とにかく「完璧は母親」であるべきというプレッシャーがあったような気がします。誰かが直接上記のようなことを言ってくるというよりも、育児本、検診での母親学級、他のママとの会話、会社での会話など、様々なところに散りばめられていて、暗黙のうちにそう感じてしまっているという感じでしょうか。

 

それに比べ、アメリカでは「色々使って子育てすればいい」という感覚が強いと思います。日経ビジネスの記事:三つ子虐待事件の母親を追い詰めた「男社会」の限界 (3ページ目):日経ビジネス電子版に書いてあったのですが、アメリカは国として市場労働のみ評価する傾向があり、共働きが当たり前の社会となっているので、共働きを成り立たせるために色々なものを活用しないといけないと考えるようになったのだと思います。アメリカのようにそもそも共働きでないと生活が成り立たないという状況もどうなのかと思いますが、ここで重要なのは、ては母親1人でするものではないという考えが強く根付いているということです。

 

実際、アパートについているプレイルームに行くと父親が子供を連れてきていることはよく見かけますし、今通っている保育園の送り迎えも息子のクラスでは半数は父親が来ています。家事も父親が率先してやる家も多いですし、とにかく父親の育児への参加度合が明らかに高い。そしておそらくそれを「子育ての手伝い」をしているという感覚ではなく、「父親として当たり前のことをしている」という感覚でやっていることも大きな違いだと思います。日本では週1回でも保育園の送り迎えをしり、育休を数日取ってその間だけ子育てに関与すれば、「イクメン」と周りから評価され、父親自身も「僕はものすごく育児を手伝っています」と言うと思います。ですが、子育ては日々の積み重ねそして長期的なものなので断片的に手伝うことだけでは足りず、そもそも「育児を手伝う」という親としての主体性のない考え方を抜け出せない限り、本当の意味で母親主導ではなく、両親主導の子育てにはならないでしょう。

 

またアメリカではこのように子育ては母親だけがするものではないという考えがあるため、母親に対しても寛容です。レストランで家から持ってきた食べ物を子供に食べさせても何か言ってくることはほぼないですし、子供が泣いていても「どうしたの~?」という感じで嫌な顔はされません。ベビーシッターに預けてパーティーに参加しても、「たまには大人の時間も過ごさないとね!うちも預けてきたよ」と白い目で見られることもありませんし、バスでベビーカーを開いて乗っていても何も言われません。一つ一つは小さいことかもしれませんが、こういう小さな優しさや寛容さが日本にはなくなってきているような気がします。

 

まとめ

完璧な母親が求められ、父親があまり子育てに関与しない社会。そんな社会では今後もずっと母親の育児ノイローゼや児童虐待など悲惨なニュースが続いていってしまうと思います。

父親自身が子育てを率先してやるマインドセット、そしてそれを当たり前とする社会を作っていくことが必要になってくるでしょう。そして、子育てというものが市場労働と同様に重要で価値のあることだと皆が認、一人一人が子育てしている親に対して尊敬と寛容さを持つことも大事だと思います。

具体的に何をすべきなのか・・・それは引き続きじっくり考えていきたいと思います。

MBA受験:エッセイはどう対策すべき?

MBA受験。スコアメイクを終え、次に待っているのはエッセイですね。
各スクール独自の課題となっているので、そもそもどこから手を付けていいのか、どんな内容を書いたらいいのか迷っている方も多いかと思います。

ラウンド1でアメリカのスクール6校に出願した私の経験を基に、エッセイ対策の方法をご紹介します。

 

 

1. What matters most to youから取り組む

MBA受験生の皆さんの間では既に定石かもしれませんが、Stanford Graduate School of Business (GSB)のエッセイの質問として例年出されている

What matters most to you, and why?*1

の質問から始めてみることをオススメします。

理由としては、自分のストーリーを組み立てる上での柱となるからです。

私の場合、漠然とMBAを受け始めたこともあり、何から書き始めたらいいのかわからなかったので、まずは自分にとって何が大事なのかを考え、その考えに至った過程をじっくりと考えてみることから始めてみました。

エッセイを書く上でも、自分自身の大事なことや優先順位は明確に持っておくべきなのは間違いありませんが、実際にMBA留学に来られた際にも、これらがしっかりないと結局何も学ばずに終わってしまった・・・ということになり兼ねないので、留学前に一度じっくり考えられることをオススメします。

 

2. 過去・現在・未来を繋げる

What matters most to youの答えを考える上でもそうですが、過去・現在・未来を繋げるという視点を持つことが非常に重要です。

 

例えば、私の場合、自分にとって「inclusiveness」がとても重要なことだと気づきました。(ちなみにこれは夫とカフェで話しながら徐々に気づいていきました。)

そこから、この現在の考えに至るまでにどのようなプロセスがあったのかを考えました。大学での授業、サークルなどの課外活動、仕事での経験など、「inclusiveness」というテーマに関連した経験の洗い出し。そして、各経験において、自分は何をしたのか、何を考えて行動していたのか、どのような人と関わっていたのか、何を感じていたのか、など詳細に思い出してみました。

また人生において重要な転換点となるような時に、どのような意思決定をしたのかも考えてみました。なぜそのような意思決定をしたのかをとにかく深く掘り下げてみると、その理由が自分の大事なこととリンクしていることに気がつきました。

そして、自分にとって重要なことに関連して将来何をしたいのかを考えてみました。短期的・長期的それぞれでどういったことを成し遂げたいのか。

受験生の方の相談に乗っていると、この「将来のキャリアビジョン」として何を書いたらよいのかわからないというお話しをよく聞きます。何か”かっこいいこと”を書かなければいけないのかと。個人的には、将来のキャリアビジョンとして書いている内容は何でもいいのだと思います。今の会社にいる計画でもいいし、海外で働く計画でもいいし、新しい会社を立ち上げるのでもいい。重要のは、それが自分の"What matters most to you"とリンクしていること。そこさえ押さえてストーリーとして流れればエッセイとしては良いのだと思います。MBAに来て、そのキャリアビジョンが変わるのはよくあること。書いたらそのビジョンにコミットしなければいけないということではないので、その点は柔軟に捉えるとよいでしょう。

そして最後に、それを達成するためになぜMBAが必要なのかを検討。MBAによって得られるスキル、経験、ネットワークなどがどう目標達成に繋がるのか。ここまできて、ようやく自分の中でも何故MBAに行きたいのか明確になってきたと思います。

 

何が自分にとって重要なのかという点に優劣はないと思います。別に他の人と被っていても全く問題ないでしょう。鍵となるのは、上記に示したように、過去・現在・未来の3つの点がしっかりと繋がっており、一貫したストーリーが書けているかということです。このストーリーの部分は、自分の経験に基づいて書かれるため、他の人には絶対真似できないところです。時間はかかるかもしれませんが、近道せずにじっくり考えてみることをオススメします!

 

3. ネタ作りはしっかりと

何故そのスクールに行きたいのかを書く際には「ネタ」が必要になってきます。

MBA受験:スクールビジットはするべきか?メリット・デメリットを考えた結果答えは・・・ - ママ留学記@ハーバードビジネススクールの記事にも記載しましたが、ネタ作りに最適なのはスクールビジットです。実際に自分の目で見て、その場で感じたことを志望理由に盛り込むことができると強い志望理由になります。また実際にビジットに行って、Admissionや学生と話すことができる場合、①②で考えたストーリーを軽く話して、分の成し遂げたいことを成し遂げるために、このスクールにはどのようなリソースがあるのか」という質問をすると、自分のストーリーにリンクできる具体的な授業やクラブ、その他活動などを聞き出すことができるのでオススメです。

 

またスクールビジットはできないという方は、日本で行われている学校説明会の時などに、卒業生の方に質問をしに行くことをオススメします。私も、自分のストーリーがある程度出来上がった頃に、学校説明会で卒業生の方とお話しし、自分のストーリーにリンクした質問ができたので、その方から聞いた具体的な授業名やクラブ名をエッセイに盛り込むことができました。

 

4. 他の人に読んでもらう

自分としてはストーリーがしっかりしていると思っていても、他の人が読むと一貫性がないと捉えられてしまうことがあります。それを避けるためにも他の人に読んでもらうことを強くオススメします。

私はプロのエッセイカウンセラーはもちろん、一緒に受験をしていた主人や、志望校の学生の方に読んでもらい、何度も何度も書き直しをしました。エッセイカウンセラーに関しては、コアの方を1人、HBSに関してはセカンドオピニオンを聞くためにもう1人違う方にも見てもらいました。エッセイカウンセラーによって視点がかなり違うので、第一志望校のエッセイに関してはセカンドオピニオンをもらうこともよい投資になるかと思います。

 

まとめ

スコアメイクも大変ですが、エッセイは明確な終わりがないので違った大変さがありますよね。私自身もここまで自分の人生についてじっくり考えたのは大学受験時に帰国子女枠で受けたエッセイについて考えた時以来だったのではないかと思います。新卒の就職活動の時よりも確実に多くの時間を使って自分の人生について考えたと言い切ることができます。

「こういうことを書いたら印象がいいのではないか」という学校起点で内容を考えるのではなく、自分起点で自分にしか書けない内容を考えてみることが必勝法です。

締切までの時間も限られて焦るかもしれませんが、一度立ち止まってじっくりと考えて、いいエッセイを書いてくださいね。