ママ留学記@ハーバードビジネススクール

2歳の息子を連れ、主人と2人揃ってハーバードビジネススクールに留学している一家の記録。日々の生活の様子に加え、MBA受験の経験談や、「ワーキングマザーとしての成功」に関する考察を共有したいと思います。

GDP成長のない国で生きるとは?今後何を目指すのか?

今日のBGIE(Business, Goverment, and the International Economy)の授業は、日本のケースでした。

日本の今後について色々考えさせられるケースだった上、個人的に嬉しいこともあったので記録に残しておこうと思います。

 

 

ケースの内容

ケース自体は、まずは日本の歴史から始まります。鎖国、ペリー来航、明治維新、第二次世界大戦、高度経済成長、バブル崩壊、そして失われた20年と詳しく歴史についての記載。

その後、安倍政権の「三本の矢」についての説明。

第一の矢:大胆な金融政策

第二の矢:機動的な財政政策

第三の矢:民間投資を喚起する成長戦略

それぞれについてどのようなことが行われたのかが説明されていました。

 

授業の議論

今回の授業では冒頭に

「GDP成長のない国で生きるとはどういうことなのか?」

というテーマが教授から掲げられました。

 

まずは"GUIDES"に基づいて日本の経済について分析。

ちなみにこのGUIDESとは、以下の略語である国の経済状況を全体として理解するのに役立つツールです。

G:Growth (GDP成長)

U:Unemployement rate (失業率)

I:Infaltion (物価の推移)

D:Deficit (財政)

E:Exports and Imports (貿易)

S:Savings (貯蓄)

 

その後日本の抱えている問題は何かを整理。

デフレ

財政赤字

高齢化

社会保障

女性の社会進出

移民の少なさ

規制の多さ

韓国や中国との軋轢

などなど様々なものが挙げられました。

 

日本人として耳の痛いコメントもいくつかでました。

「日本人は移民に対して差別的」

「第三の矢は結局何をしているのかよくわからない」

「女性の社会進出と合計特殊出生率の向上を同時に達成するのは難しいのでは」

などなど。

 

「このような問題は本当に大きな問題なのか」という点を議論し、授業残り15分というところで、手を挙げると教授に当ててもらえ自分の意見を述べることができました。

話した内容としては、この問題は次世代にとってものすごく大きな意味のある問題ということを話しました。

①財政赤字、そして鈍い成長が続く中、将来への期待を持つことは難しい。バブル崩壊後に生まれた私も、将来への不安から自分で貯蓄しないといけないという意識が強い。

②またデフレで賃金も上がらない国に対し見切りをつけ、多くの優秀な人材が国外に流れてしまう

③女性の社会進出の話もなかなか思うように進んでいない。息子の保育園全落ちの話も交え、保育園についてもまだまだ道半ばなことを説明。且つこの点については「女性は家にいるべき」という固定概念が未だに残っている文化的要素も大きいので、政府が保育園を整えたりすることは最低限やってもらう必要はあるものの、ビジネスリーダー達が率先して、そういった文化を変えていくべき

といったような話をしました。

 

セクションの反応は?

「あ、なんか全然構造化されてなくないか・・・」

「あ、あれ言うの忘れた・・・」

と不安を抱えつつ、とりあえず話を終えました。

 

すると、思いもよらないことにセクションの皆が拍手をしてくれたのです。予期していなかったので少し驚きつつ、皆の温かい反応が単純にとても嬉しかったです。

 

授業後も「面白い話を共有してくれてありがとう」、「リアルな意見を聞けてよかった」と話しかけてくれた子が多くいたり、「追加で質問があるんだけど・・・」とその後数分内容について議論してくれた子がいたり、「HBSに来た理由の一部として、違うバックグラウンドの生徒から学ぶということがあったが、今日のコメントはまさにそれを実現してくれた。自分達があなたのことを誇らしく思うように、あなたも自分を誇りにおもってほしい」という温かいメールをくれた子がいたり・・・。

 

想定していた以上に皆がしっかりと聞いてくれていて、且つそれに対してポジティブな反応を示してくれたことに感謝の気持ちでいっぱいになりました。また、以前記事に「日本代表」としてより日本について理解し、それをもって議論に貢献する必要があると感じたことを書きましたが、今日は「日本代表」としてクラスの議論に貢献するということが達成できたのは非常に嬉しいことでした。

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まとめ

授業の終わりに教授が提示した質問は

「成長が終わったら全て終わりなのか?その先に何を目指すべきなのか?」

というもの。

 

先進国の多くが今後日本同様に人口構造の変化や成長の限界を迎えていくと予測されています。そうなった時に、成長を目指すのか、それとも、成長の止まった社会の中で他のものを目指すのか。そういった議論がしっかりとなされていくべきというメッセージでした。

 

授業後、よくよく今後何に力を入れていくべきなのかを考えると個人的にはやはり教育なのではないかと思います。イノベーションを起こせる力、女性・移民など様々な人を受け入れるinclusiveなマインドセット、英語力を含めた世界で戦えるスキル。そういったものを次世代が持つためには、国として教育に力を入れていく必要があると思います。