ママ留学記@ハーバードビジネススクール

2歳の息子を連れ、主人と2人揃ってハーバードビジネススクールに留学している一家の記録。日々の生活の様子に加え、MBA受験の経験談や、「ワーキングマザーとしての成功」に関する考察を共有したいと思います。

Unconscious Bias

先週のLEADのケースはとても重みがあり、面白いものでした。
マイノリティーに関するケース、Unconscious biasに関するケース、そして3つ目は元コンサルタントの女性がスタートアップのCEOになりどう会社を経営したかというケース。全て自分自身に関連付けやすく、とても考えさせられ、学びも多かったと思います。3つ目のケースでは、ケースの主人公である女性が教室に来られスピーチや質疑応答をしてくださり、HBSのケース授業の醍醐味を体験できました。

 

今日はその中でもUnconscious biasについて少し考えてみたいと思います。

Unconscious biasとは?

Unconscious biasとは、無意識の偏見のこと。例えば、「女性は利他的で、物腰が柔らかい」といったような考え方。このような偏見が根強いと、例えば社員を評価する際に、全く同じようなスタイルで働いていたとしていたとしても、男性であれば「積極的で成果を出している」と評価される一方で、女性であると「気が強すぎる」とマイナスの評価をされることがあるという問題が生じてしまいます。

近年重要視されている「インクルージョン」を推し進めていくためには、まずこのUnconscious biasをなくしていくことが鍵だと考えられています。HBS前に私が在職していた外資コンサル企業でも、Unconscious biasトレーニングが行われており、このコンセプト自体は少しずつ浸透してきているのではないでしょうか。

 

Unconscious biasを乗り越えるために

上記で説明したUnconscious biasによって、特に女性は1つの大きな課題に直面しているそうです。「この人は信頼できる人間か」を評価するには2つの軸、①能力と②人格があり、男性の場合、①能力が高く、②人格も良いという評価が比較的なされやすい一方、女性の場合この2つの軸が共に「高い」と評価されることが難しいというのです。つまり、能力が高いと人格が悪い、もしくは人格は良いが能力は低いと評価されやすい実態があるということになります。これは男性が女性を評価する際のみならず、女性が女性を評価する際にも陥る過ちでもあります。

私自身もコンサルであることだけで「気が強い」というイメージを持たれ嫌な気持ちになったこともあるにも関わらず、あまり柔らかい物腰にすると「できない人」と評価されるのではないかと不安になり、「強め」な態度をとらないといけないと思ってしまっていたこともありました。人を評価する時だけではなく、自分自身のスタイルを考える時にも、①能力と②人格の両立は難しいと感じていたのだと思います。

このような難しさを乗り越えるために、もちろん企業としてUnconscious biasのトレーニングなどをしていくことは必須ですが、個人としても乗り越えていくことができるというのがケースの意味合いの一つでもありました。

個人の強みの源泉として、①組織における立場、②個人の能力、そして③人とのネットワークがあるそうなのですが、そのうちこの③の人とのネットワークがこの場合重要ということでした。

ネットワークを考える上で私は2点が鍵だと感じました。まず一つは、「女性同士のネットワーク」を強化すること。例えば部署の中で自分だけが女性であるという状況の場合、自分のその「特別なポジション」を守るために他の女性が入ってくることに対し防御的になってしまうことがありますが、それではいつまで経っても女性の活躍の場は広がりません。女性自身も「お互いにサポートし合う」というマインドセットを持って、協力し合うことが大事なのではないかと思いました。

二つ目は、「マジョリティーとのネットワーク」を活用すること。この場合、男性のサポーターを得て、彼らにも女性の活躍を後押ししてもらうことが大事だということです。HBSにもWomen's Student Associationの中にManbassadorsという女性の活躍を後押しするグループがありますが、そのように企業の中でもより男性と女性が協力し合って、女性の活躍を広げていく必要があるなと再度強く感じました。

日本の企業文化を変えていくためにも、Unconscious biasの議論をより活発にしていきたいと思いました。